石水杏の恋文
貴方への想いはしんしんと降り積もり、夜に白く輝いて、そっと溶かされるのを待っています。朝の日差し、麗らかな春を告げる太陽。そうやって土が顔を出した時、きっと私は歩き出せます。
貴方に手を取られ、サクサクと踏みしめる荒れた土を、これから共にふわふわの花畑にしてください。貴方と隣合わせで顔の映らない濁った泉を、どうか鏡とするまで澄ませてください。
どれも、貴方とでなければ嫌なんです。
ひとりぼっちでは、できないんです。
貴方の優しい声が好き。
貴方の柔らかな笑みが好き。
しんしんとまだ降り積もる想いの泡を、どうかそのまま凍らせないで。
夜はまだ長いから焦らないでください。
「秋慈さん。」
たくさん名前を呼ばせてください。
もっと貴方を教えてください。
そして、どうか知ってください。
貴方に愛してもらいたいから。