絶対の初恋
恋に落ちる。
瞬間的に広がる波紋のように、その感情はただただ美しく。
静かに、黒く、気高く、確実に心を侵食した。
初めて、欲しいと口にした。
手に入れられないわけがないと思っていた。
今までずっとそうだったのだから、当然だと思っていた。
「僕じゃ、ない?」
選ばれないなんてあり得ないはずだった。
「・・・僕の物だろ?」
欲しいものは手に入れられるはずだった。
「あいつの物であって、僕の物じゃないと?」
どうしてあんな落ちこぼれが?
「・・・生意気だ。」
この上なく不快ではあるが、手に入れるためならば仕方がない。
あんな出来損ないが僕に逆らって良いわけが無い。
あの子は僕の物だ。
僕の愛しい、初恋の人。
お前の物なんて何もないのだと、わかれば良い。
憎い、憎い、我儘な兄上。
”俺”にひれ伏せば良い。
「―久しぶり。ギルバート・トランス
・・・・いいや、初めましてにしておこうか」
「”俺”にお前ごときが、勝てると思うなよ」