想像の小部屋

なんか色々まとめたり書いたり。

無人の館にご注意を #9

Side.結奈

「ついたぞ、ここの鍵で間違いなさそうだ」

東さんが扉を開いた。新しい部屋が開いたようだった。

が、私はイマイチ状況がつかめないでいた。

一応空気は読めるので黙ってはいるが正直説明を要求したい。

東さんには何か、仲間が居たようだが?

その仲間が死んだのだろうか。

一人、と言ったがそれは新たに一人ということだろうか?

「・・・・。」

考えたくない、今までにすでに何人か死んでいるとしたらだなんて。

ちら、と東さんを見やる。

・・・顔色が良くない。傷ついているように見える、がどうだろうか。

 

どうにも、聞きだせる状況じゃない。

空気が重すぎる、これでは正直気が滅入って仕方ないだろう。

東さんもこれでは回復しないし落ち込んだままだと困る

 

「・・・それにしてもアレっすよねーwwwお腹減ったっすね!ww今頃爽なんか呑気におやつ食ってんだろうなーwwwwww私らもなんか作っちゃいます?wwwwなんてなwwwwwwww」

あはは、と笑ってみても東さんからは反応がなかった。

実先輩がちらりとこっちを見たが何も言わない。

真先輩は一瞬目を見開いて何か考え込み始めた。

杏さんは少し首をかしげた後「爽君・・って?」と聞いてきた。

 

ああ。

 

だめだな。これ、私なんか間違ったかも。と、人々の反応から感じ取る。でも、どうにかしないといけない。

「爽?wwwwああえっとねwwwめちゃくちゃ頭良い奴wwwwでも運動はからっきしなんだよねwwwwwめっちゃバカなんだよ性格がって言うかさwww」

笑え、笑うんだ

 

「・・・仲良しなんですね、お友達ですか?」

 

「そーなんすよおwwwwwwもうあいつほどテンションあう奴なっかなかwwwww」

会話、会話だ。

 

「大切な人が、居るんですね」

 

杏さんが、何か複雑な笑みを浮かべた。

 

「あ・・・ベッドの下。穴が開いてます。部屋が見えますよ。行きませんか?」

何?何その笑顔私変なこと言ったの?どうしよう何を思ったの?

杏さん、どうしたの、ねえ今何か思った??

杏さんがベッドをずらして通路を露わにさせる。飛び降りれ無さそうな事もない高さであったことから私たちは内側から鍵を開けるためにその部屋へ移動した。

空間が新しくなっても、私の心は先程の笑顔のおかげで不安の渦を巻いていた。

そしてそんな私の視界の隅で、

 

実先輩の口元が笑っていたような気がした。

 

Side.真

まずい。

背景で笑っている秋月の声も聞こえないくらいには考え込んでいた。

さっきの発言だ。

お腹が減ったと。場を和ませるようにと発言したのだろうが空腹は非常に問題だ。

そもそも、僕たちが本気で腹をすかせる前にここを出られるなんて保障どこにある?

下手すれば餓死だ。鬼に食われるとかそんな事以前の問題だろう。

これからあの鬼と、逃げるなり戦うなりと接触するならより体力も消費される。

早く出る方法がわからないと本当にやばいかもしれない。

それに、一瞬さきほど何かが引っかかった。

何が引っかかったのかはわからないが、何か気づけていないことがあるのだろう。

状況は悪くなる一方だった

「・・・と!真!聞こえてんのか?」

「え?」

すぐ近くに居た実を見て思考の波から現実に引き戻される。

「ごめん、聞いてなかった」

そういえば新しい部屋に来てから全く探索をしていない。

部屋を見回せば、そこは真っ白い空間が広がっていた。

白い壁、白い床、白い天井。そして、白いピアノ。

本棚なども置いてあったがすべてが異常に白かった。

「あのピアノさ、変な数字書いてるんだよ。なんか脱出と関係あると思うか?」

そう言ってピアノを指さす。

不思議に思いながらピアノを見に行くと確かに数字が書いてあった。

ドの鍵盤に5、レの鍵盤に7、ミの鍵盤に9。

僕は首をかしげた。何かの暗証番号だろうか?金庫などの持ち主が暗号にし残すなんて珍しい話ではないが・・・。

「・・・あれ、お前何して・・・」

実が誰かに向かってそういうとほとんど同時で、本棚のあたりから思い物を引きずるような音と女性組の悲鳴が聞こえた。

「は・・・へ?え?きゅ、急にうご・・・っ?」

「・・・・ファーーーwwwwwwwwここにきてのwwwww心霊現象wwwwwwっうぇwwwwwww」

石水さんと秋月が調べていた本棚が動いて、壁には模様が書かれた金庫が姿を現したのだった。

「・・・竜胆?お前さっき何か言いかけてたよな?」

東がそう言うと、実は「ああ、いや・・・」と歯切れの悪い返事をしていた。

 

まあ僕はあんまりその会話に興味が無かったので、というか金庫に俄然興味がわいたのでそっちに向かった。

書かれていた模様はピアノの鍵盤のような物だった。それが4つ。

番号を入れる式の金庫だった。数字は4桁。

「・・・ピアノ、数字。・・・4桁。」

 

 

なるほど。

周りできょとんとしている二人には悪いが早めにこの金庫を開けさせてもらおう。

 

「・・・えっ、真先輩wwwwwwwwwwすげえwwwwwwww金庫開けるの早いwwwwwwwwwwww」

秋月の笑いをBGMに僕は中身を取り出す。

それはライターとドライバーだった。