無人の館にご注意を #1
※学戦で青鬼パロ
※木綿ちゃんの企画とはまた別です
「あったあった!ここっすよ先輩達ー!」
そう言って少女は人里離れた山奥で手を振る。
背後に巨大な館を映らせて。
黒い侵入者
Side.実
始まりは数時間前。
相変わらずのろのろと食事をする友人(?)を目の前にテスト勉強をしていた時。
「あ、先輩方ー!今日これから暇っすかー?」
けたけた笑いながら後輩が声をかけてきた。確か・・・名前は秋月だったはずだ。
「秋月だったか?どうした?」
そう声をかけると少し驚いたような顔を見せたが、すぐに元の笑顔に戻って
「いやーww友達と肝試し行こうって話してたんすねー?wwwそしたらあwwwwまさかのwwwwwドタキャンされてwwwwwwwその友人に実先輩を紹介されて誘いに来たんすよwwwwwwwwwwwww」
と言った。
秋月曰く、こんなテスト期間中に俺を紹介したお友達は爽らしい。
今度叱っておこうと心に決めながら、テスト期間中だからと断ろうとした時だ。
「・・・いいんじゃない、行ってあげたら。」
「は?」
ずっと黙って食事をしていた目の前の友人・・・真が柄にもなくそんな事を言い出したのだ。驚いたおかげで素っ頓狂な声を出してしまった。
そしてそれ以外何も言わず食事に戻・・・いやいやいやいや。
「何で普通に食事に戻ってんだよ!?つかまだ食い終わってなかったのかよおっせえな!」
勢いで関係ないトコまでつっこんでしまった。そうじゃない、落ち着け俺。
「今テスト期間だよな?」
「ん。」
「俺今勉強してたよな?」
「うん。」
「お前なんて言った?」
「肝試し行けば?って。」
「馬鹿なのか?」
「実より成績は良い。」
「一回死んで来い。」
天才と変人は紙一重だなんてよく言ったものだ。
さっきまで俺も昼飯食って休憩してたのを見てるから、勉強の休憩にーなんて言う状況じゃない。
ただ単に「勉強せずに遊びに行って来いよ」と言ってるようなものだ。学生にとってこれほど致命的かつ誘惑的な事はそうそうない。何より隣で笑い続けてる秋月の草の量でどうにも会話にも勉強にも集中できない。
「wwwwwwあーwwww面白wwwwwwで?www来てくれるんすか?wwwwwwww」
結論から言えば・・・来た。
化けモンが出るっていう山奥の館に。
真がオマケみたいについてきたのがよくわからないがこの際無視だ。
早く館を回ってこの困った後輩に勉強させなければ。
「はあ・・・。」
無意識にため息をついた。後輩に甘いのは自負しているが、強制的に机に結び付けてきて良かったくせにこんなトコまで連れてきて。
相当甘やかしているなあと思った。
まあ反省は後だ。せっかくの肝試しを気休めにでも楽しもうじゃないか。
「よーっし、出発ー!!」
勢いよく館に駆け込んでいった秋月に気をつけろと注意しながらその後に続いたのだった。