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想像の小部屋

なんか色々まとめたり書いたり。

旅の始まり、出会いへの道

※学戦子モンハンパロ

「…くぁぁ…。」
間抜けなあくびをしながら、私は砂の大地を眺めていた。果てしなく広がるその砂漠の海を、澄んだ青空の下この船は進んでいる。
そろそろ姿が見えるであろう目的地の街をマイペースに待ちながら、もう何分ここにいる事か。
どこのキャラバンに所属している訳でもない私はしゃべり相手も居らず暇をしていた。
突如、轟音とともに大きな影が頭上にさすまでの話だったが。

ゴオオオオオ
大きな、鯨のような生き物が船の上を飛んだ。
映画の演出かのように悠々と、そして強かに横断したのだ。
船が大きく揺れ、甲板に置かれていた樽がガラガラと流れ出す。
私は咄嗟に柵につかまり、先程の鯨が沈みこんだ地面を見やる。
まだ奴はそこに居るようで、その巨体が地上に出始めていた。
「おい!そこのお前!」
屋内から今出てきたのか、船の奥から人が駆け寄ってくる。
「お前、武器持ってるな!?ハンターなのか!?」
その人は私の所持しているライトボウガンを見るなり食い気味でそうまくしたてた。
「え、そッそうっすけど…」
「なら話は早いな!?手伝ってくれ!」
彼はそう言うなり私の手を引いて大砲の弾が積んである荷台に近づいた。
「うちのハンターがさっきの衝撃で船から落ちちまったんだ、しばらくは戻れない。その間船を守ってくれるか?」
帽子の下から綺麗な青と黄色の瞳が私を見つめる。
―彼とならやれるかもしれない。
何をと言われればこの状況の打破なのかそれ以外なのか、この瞬間の私には分からなかったが、確かに何か。運命のような物を感じていた。
「…わかったっす!任せてください!!」
「よく言った!」
鯨は未だに船を狙っている。この人の仲間であるハンターが落ちたというなら、早く奴を大人しくさせないと危ないかもしれない。
私は勢い良く大砲の弾に手をかけ、走り出した。

ドオン!!

大砲の弾は弧を描きながら奴に向かって飛んでいく。確かにそのダメージは響いて居るようで、奴の巨体が揺れたのが見える。
「よっしゃもういっちょォ!」
ドオン!!
ドオン!!
大砲をひたすら奴に打ち込む。
専門外の重火器であるが、それでも近距離戦を主とするハンターよりはこなれているつもりだ。
奴はとうとう、砂の中にその姿をくらましたのだ。
「やった…!」
私は奴が逃げたのだと思い、先程の彼を探した。
彼は他の乗客の逃げ込んでいる部屋の前で、扉が塞がらないよう見張っていたようだった。
「あの―…!」
彼に向かって走り出した瞬間だった。
船が今までで一番大きく揺れて、奴の…鯨の体が、一部船に乗り上げた。
突然の衝撃に耐えきれない私はその場で転倒する。ハッとして顔を上げれば、視界には奴の大きなヒレが、風を切ってこちらに向かってきていた。
遠くで彼の叫び声が聞こえた気がする。私は恐怖で、硬く目を閉じることしかできない。
いよいよ、体のすぐ近くまでヒレが風を切ってやってくる音が感じた瞬間。
凄まじい衝撃音が響き、
「おい貴様!起き上がらないか!!」
そう言う、青年の声が耳に届いた。
恐る恐る目を開くと、操虫棍でヒレの攻撃を受け止め、私に必死に声をかける、それは凛とした、ハンターの姿があった。
「あ…え…っ」
唖然として動けない私に彼はまた、
「聞こえないのか!そこをどけと言っている!!」
そう叫んだ。
操虫棍がミシミシと嫌な音を立てる。
不意に現実に引き戻されたような感覚に襲われた私がその場からやっとの思いで遠ざかると。
今度はそのヒレを、空中から大きな剣が叩き斬った。
奴はおぞましい悲鳴をあげて、また船から遠ざかる。
信じられない気持ちでその大剣の主を見てみれば、長い髪を風に靡かせる綺麗だと形容するに相応しい、少女の姿があった。
「おいお前…!大丈夫か!?怪我とかしてないだろうな…!」
ハンター二人に視線を奪われていると、最初に話した彼が駆け寄ってきて、私をもう少し安全な場所まで連れていってくれた。
その間にも、ハンター二人は鯨に攻撃を加えようと船上で舞っている。
「…あっあの。」
「ん?」
どういう答えを期待してか、私は彼の瞳をじーっと見ながら尋ねた。
「…あの二人が、あんたんとこのハンターさんっすか。」

彼はにっと、悪巧みをする子供のように笑って言った。
「自慢の、俺のキャラバンのハンターだ!



私…新米ハンター秋月結奈がこの、東塔里率いるキャラバンに入るのは、この船が出会いの街『バルバレ』に到着してからの話。