想像の小部屋

なんか色々まとめたり書いたり。

コープスパーティーパロ①の2

「…ッ、とが、み、くん…!」
息も切れ切れに少女は学校中を走り回っていた。先程自分で突き放した彼を探し求めて、走っていた。
怨霊の恐怖はどんどんと増幅し、孤独はさらにそれを成長させるだけだったのだ。
今からすれば、あの態度が彼なりの親切だっとことなど明白だった。
「兎上くん…!」
呼んでも返事は、なかなか帰ってこない。

「おい、貴様…何をする…!」
そしてその彼は。これから吊るされる。
「石水!目を覚ま、」
様子のおかしい、彼女の姿をした何かに首を狙われているのだ。
3階女子トイレ。両隣の個室からも重い物が揺れるギイギイという音がゆっくりと聞こえてくる。
(おかしい、いくら石水でもこんなに力が強いわけがない…!)
そして彼は彼女と目が合う。
少女のものではない、真っ赤な瞳と。
言葉は咄嗟に出て、そして脳は冷静さを取り戻していた。
「貴様、石水ではないな?」
今にも足場にしていた木片を蹴り飛ばそうとしていた彼女が動きを止めた。
「そもそも石水なら、こんな事せず己が力で僕を殺しに来るはずだ。まあ、このような状況で僕を殺すほど愚かではないはずだが。」
彼女の真っ赤な瞳のその周り。白い眼球が黒く染まっていく。
もう完全に少女の真似事をやめ始めた。
彼は化物を睨みつけながら言う。
「答えろ。なぜ僕達を襲う。」
静寂。
化物はギリギリと歯を食いしばり、怒りを顕にし始めている。
「…答えることすら出来ないのか?」
蔑むような声で吐き捨てた彼はその強い光を宿す瞳で律した。
「身の程を知れ。クズめ。
貴様に奪われて良い様な低い価値の命は、この世に存在しない。」
化け物の目が見開かれる。
「貴様、最初あいつを殺そうとしたのだろう?だが貴様には到底無理だ。何故かわかるか。」
「アアアア…ア…」
化物は呻き、彼の言葉を遮郎とする。
「あいつは強い。貴様の手には負えないだろう。そんな貴様が、僕を殺そうと言うのか?」
化物は、

「頭が高いぞ。」
「アア"アアア"ア"アァアァァ"ァア"アァア!!!」

バキッ!!
音を立てて彼の足が宙に放り出される。
化物は高笑いに笑い、彼は呼吸が出来ず苦しみ始める。
そんな笑い声が届いたのは、彼だけではない。
「兎上くん!!」
―少女の耳にも、等しく届いていたのだった。