そんな彼の世迷言
別に誰からでも愛されることを拒みはしない。
愛したことを否定もしない。
けれど、だけれど。
彼に対する好きがあまりにも特殊なようで、よく疲れてしまう。
ただそれでも、ひたすらに好きだった。
溺れるくらいに。盲目になるくらいに。
もっと不安にさせてほしい。もっと縋らせてほしい。
もっと依存させてほしい、もっと愛したい、もっと追いかけたい。
ずっと考えて居たい。
だからもっと冷たくしてくれて良い、もっと意地悪でも良い、
不安にさせて、不安にさせて、それでも救ってくれるんじゃないかと期待したい。
その淡い期待がいつか打ち砕かれても、ずっと想っていられるように。
だけど、いっぱい愛してほしい。
抱きしめてほしいし、キスだってしてほしい。
名前を呼んでほしい、手を握ってほしい、低い体温を感じさせてほしい。
好きだよなんて、甘い言葉で安心させてほしいし、
その腕の中で眠らせてほしい。
結局何を望んでいるか自分自身でもわからないけれど、
ただそれでも彼が好きなのだとひたすら思うのだった。
そんな世迷言。