第三者視点、客観視
「姉さん。」
「なに?」
「・・・お父さんとお母さん、何を怖がっているの?」
「・・・。」
「姉さんが、食べ物も布も土地も持ってきてくれて、僕ががんばって守ってるのに。何があんなに怖いんだろう?」
「・・・バルド。」
「なに?」
「・・・あんたはわかんなくて良いことだよ。」
「・・・。うん。」
「良い子。」
僕はどうしてもあの香りが嫌いだった。
癖になるような香り、父と母の肉を脳を腐らせていくあの香り。
だがあの獣からは。
その香りと、どこか懐かしい香りがするようだった。
姉は変わった。いいや昔からそうだったかもしれない。
僕は変わった。・・・いいや、何も変わってなどいないのかもしれない。
そもそも変わることに意味はあるのか。そもそも変わったというのは誰から見た話なのだろうか。
わからないけれど、きっと僕は異常なのだ。
そして姉はもっと。誰から見ても異常なのだ。
姉さん。
結局彼女に目に映るどうぶつを人に変える方法はいまだに見つかっていない。