想像の小部屋

なんか色々まとめたり書いたり。

衝動に呑まれる

「・・ッ、ハァ・・ッ!、ハ、・・ッ!」

呼吸がうまくできない。瞬きがちゃんとできない。震えて歯がカチカチと音を立てる。体が動かない。

「・・・ッハァ・・!!ヒュ、」

なんだ、なんなんだこの光景は。

この・・・視界を埋める、赤色は

「・・・私が、また、殺したのか・・・?」

 

「・・・!!!」

目が覚めた私はベッドから跳ね起きた。辺りはまだ暗い。・・・夢を見て居たようだ。

異様に汗をかいていて気持ちが悪い。

「・・・またこの夢か。」

俯いて、無意識のうちに手を固く握る。

私の、過去の過ちの夢だ。恐ろしく残虐で、非道な私の犯した過ち。

震える肩を自分の手で押さえる。

「大丈夫、大丈夫だ。私は忘れなどしない。」

言い聞かせるようにそっと呟く。

「大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫。」

腰につけた、今まで殺めてきたもの達の一部を撫でながら私はそう決めつける。

しばらくそう呟いていると、突然肩に手を置かれた。

ハッとしてそっちを見ると、すぐ近くに兄様の顔があった。

「・・・大丈夫だぞ、妹よ。・・・アナトよ。」

そう言って静かに頭を撫でてくださった。

「・・・兄様、」

愛しいこの方を呼ぶ声でさえ、泣きそうになって震えていた。

兄様はそっと私を抱きしめてくださった。

罪をすべて包み込むように。私の不安を緩和してくれるかのように。

私の涙を、慈雨で隠してくださるかのように。

「兄様」

いつだって優しいこのお方に私は、

「・・・兄様」

このお方を私は。

 

「・・・*****」

私の口元は笑い、それ以降の記憶がなかった。

ただ、次に目が覚めた時私が目にしたのは赤い空間だった。