何千年後かの【未来捏造注意】
『2次的な神に分類され、彼自身の性格や愛人などにはまったく触れられることの無かったリトアニア神話の運命を統べる神、プラアムジス。
そんな彼の気まぐれなのか一時天上にある神殿から降り、他の神々と関わっていた時期がありました。
その時、最も彼が気に入り関わっていたとされるのが死神であるタナトスです。
本来神々の運命を掌握するプラアムジスが他の神に関わるのはよいことではありません。彼の情によって運命が左右されると困るからです。それを重々承知していた彼がタナトスに心を許したのは、心は青銅だと謳われるタナトスなら情を移さないと彼なりに判断した結果なのかもしれません。
しかし、長い長い孤独から解放されたプラアムジスはタナトスを失うのを恐れました。彼はタナトスの死を少しばかり先延ばしにしたのです。
他の神々との関わりの薄かったプラアムジスのこの非行はバレることはありませんでしたが、本来よりも長く仕事をする羽目になったタナトスは迷惑したでしょうね。
また、こういった情をかける描写からタナトスがプラアムジスの愛人であったという説もあります。』
「・・・はっ。」
軽く鼻で笑って彼は本を投げ捨てた。
バサ、と音を立てて床に落ちた本は地上から拝借したものだった。
「人間ってのはつくづくおもしれーもんだ。」
乾いた笑いを零しながら彼はクルミを頬張る。
がらんとした無駄に広い神殿の中央。昔は彼が座っていた椅子の、その隣の増えた椅子に腰かける骸骨。
「神話にまで語られるようになったみたいだぜ、なあ」
淡い金色の瞳から透明な雫が溢れる。愛おしそうに骸骨に添えられた手は悲しみで僅かに震えていた。
そして彼は最愛の、死神の名を呼ぶ。
「・・・お前、これで幸せだったか?タナトス。」