魔術師の足枷
「****、そんなに私が好きだった?」
笑った彼女は玄関を縫った
暗い闇の中に残されたのは私だけだった
聖母の母
低俗な夢魔の父
それでも生まれた汚れのなき魔の子供
事故、嫉妬はたまた運命?
ただそれは間違いなく歯車であり苦しい苦しい幕開け
私は役目から逃れる術を持たない一手の駒
最期の望みをかなえられなかった唯の駒
全てを拒んで独り枯れて行った大馬鹿な一手
囚われ続けていたとしても
忘れられなかったとしても
私には視ることができるのだ
訪れた時期
それは欲望を無理に掻き立てるその合図
そして出会った黒い鴉
それはまた囚われた小さな所有者
塔と同じ空の見える最上階
私はそっと目を閉じる
「もし聖杯を得られたなら―・・・・・・。」