【魔学】夢のはじめて、盲目の恋【まだ受けは譲らない】
「***!」
彼の声が自分を呼ぶ。
ふわついた感覚で声のした方角に首を向ければ不意に手を握られた。
不思議と怖くなかった。
「少しだけ、目を閉じてじっとしていてもらえないだろうか・・・っ」
余裕がないのか不思議なことを言う。
目を閉じるも何も自分は普段から目を隠しているだろうに。
それでも切羽詰っているかのような彼にあわせて、頷いてやった。
すると、少し彼が息を飲んだような。
そんな間の後自らの唇に彼が触れた
ピピピピピピ―・・・
鳴り響く目覚ましを止めることもなく自分は布団の上で身を起こし、茫然としていた。
「・・・・最っ悪や・・・。」
寝起きで完全に死んでる自分の声が情けない。
気がめいって顔を覆っていた手を伝い顔から熱を感じるこ所もとても情けない。
「んもー・・・なんなんよ・・・。」
ようやく目覚ましを止めて、起こしにきてくれた使い魔の鳩をなでる。
恋人にやたらと惚れこんでることに、気づくきっかけが夢とはどんな少女漫画だと失笑する。
しかもあんなメルヘンチックな夢。恥ずかしい以外の何物でもない。
ベッドから抜け出して顔を洗う。前髪も随分伸びたな、なんてのんきに考えていたら鏡越しに合った自分の目線にビクついた。
誰かからの視線に異常に反応してしまうこの癖も、いい加減どうにかしなければ。
目隠しで他人からの視線をシャットアウトしている自分には彼からどんな視線が注がれているかもわからない。それだと愛すこともしにくいし不公平だろうと幼いなりの思考を巡らせる。
目隠しをして用意を終え、部屋を出る。登校するために杖を頼りに道を歩く。
「いつか、俺の方から声かけたいな」
なんて。
後ろから声を掛けてきた彼に思うのだった。
「レイル!」
「おはようさん、ラルス。」
(ラルレイなんて正式に呼ばせねえからな)