想像の小部屋

なんか色々まとめたり書いたり。

月の宮殿ー導入

 

軽快なジャズミュージックが聞こえる。ずいぶんお洒落だ、ジャズは専門外だから詳しくないけれど、有名な歌なのだろう。

「……さん、お客さん。」

男の声だ、お客さんって……俺のこと?あれ、俺今どこにいるんだっけ。

底に沈んでいた意識がようやく浮上し始め、ふと目を開いた時に自分が眠っていたことに気づいた。視界に映るのは、洒落たバーといった雰囲気の内装と酒が並んだ棚、そして自分が突っ伏して寝ていたらしいカウンターと……俺を起こしてくれたバーテンの男。

「ああ、ようやくお目覚めになられましたか。こちらはお通しでございます。お酒を用意する間にどうぞ。」

そう言って俺の前に1枚の紙が入ったグラスを置いた。

「え、いや……ちょっと待って、ここは……」

バーテンの男を引き留めようとして、彼が俺の隣に座っている男を起こそうとしているのに気づいた。改めて見てみるとこのカウンターに男性…いや、青年?が3人、ソファー席で青年がまた一人、そして少女も寝ていた。

どういうことだろう、俺はこんな所へ来た記憶はない。ここに来る直前の記憶も…曖昧になっている。ここに寝ている彼らも同じ状況なのか?そもそもここはどこなんだろう、疑問点が次々と浮かんでくる。

目の前に置かれたグラスに目を戻した。

透明のグラスに入った1枚の、折りたたまれたメモ。なにか、これに現状のヒントでもあるというのだろうか。

考えていても仕方ない、ようやく手を動かして俺はメモを手に取った。紙を広げそこに書かれた文章を

「なんだお前どこだよココ、ふざけんな説明しろ!!」

……読もうとした時に、隣で起床した青年が派手に椅子を蹴飛ばしてバーテンの男に掴みかかった。

呆気に取られている間も、今までに聞いたことがないような罵詈雑言を吐いてバーテンに詰め寄っている。

「俺をここに連れてきたのはお前か!?さっさと答えろノロマ!!」

「ま、まあ落ち着いて!」

「ああ!?」

慌てて止めに入ると彼はこちらを睨んだ。

顔を真ん中で分断するように大きな縫い跡が残っている、髪をあげてマスクをするその大柄な彼はざっと俺を上から下まで見ると、舌打ちしてバーテンを突き飛ばした。

バーテンは可哀想にも背中を棚にぶつけたようでずいぶん痛がっていた。

「お前誰だよ、この店の人間じゃねえな?答えろ、状況は把握してんのか。」

「え? いや…、俺は 」

この人もきっと俺と状況が同じだ、そう判断して説明しようとした時、間延びした一人の男性の声にそれは遮られてしまった。

「もう騒ぎ終わったあ?じゃあ僕らも話に入れてくれる?」

声の主はカウンターに寝ていたうちの1人の、髪の長い男性のものだった。彼はいつの間にかソファー席に移動していて、そこで寝ていた2人も目を覚ましたらしい。

「きっと君たちと僕らは同じ状況に置かれてると思うんだよねえ。だから、いいでしょお?」

にまりと笑った彼に少しの不気味さを覚えた。しかし、彼の言葉を鵜呑みにするならだが、彼らもまた気付かぬうちにここに連れてこられたらしい。

それなら、疑問を共有する方がいいだろう。

椅子から立ち上がって、マスクの青年に君も行こうと話しかけ、彼らの元へ向かう。

「……おい、そこで寝ている奴は違うのか。」

ソファーに座っている青年がそう言った。

何を言っているのかわからなくてカウンター席に目を戻せば、なんと俺の2つ隣……つまりマスクの青年の隣、バーテンと彼が騒いでいた真隣の席では、まだ眠り続けている一人の青年がいた。

「あ?……てめえ起きろノロマ。」

そう言われて乱暴に殴り起こされると、何もわかっていなさそうな顔をしたままマスクの青年にソファー席まで引っ張られていた。

……知り合いだろうか? よくわからないが、マスクの彼が俗にいう不良だと言うことだけは確信した。

 

 

「……つまり、誰もここがどこだかわからない、何故ここにいるのかもわからない、ということだな?」

軽く状況を説明しあった所で出た結論はそれだった。全員がまるで同じ、ここに来る直前の記憶があやふやだと言う。

バーテンの男に質問してみても、彼も場所はわからないし、出口もわからないのだと当然のように言うから薄気味悪くなってしまった。

「……仕方がない、ここに来ることが出来たのだから出ることは出来るだろう。どうやって出るかは、自分で探すしかないようだな。」

ため息を吐いて先程からまとめ役をしてくれている薄紫の髪の青年が言った。

隣に座っている少女がずっと不満そうに彼を見ているのがとても気になる。あの二人も知り合いなのだろう。

「俺もそう思うよ、全員状況が同じなら協力して探す方がいいよね。誘拐とは…考えにくい状況だけど、危険もあるかもしれない。」

俺がそう発言しても、反論してくる人は居なかった。ある程度全員が考慮していたことだったからだろう。

何より、こんなわけのわからない状況で一人で居るのは心細い。

「じゃあ自己紹介が必要だねえ。

僕は若林小太郎、そっちの2人と知り合いなんだあ、よろしくねえ。」

「僕は兎上由紀だ。若林が言った通り、こいつと横に座っている石水とは知り合いだ。よろしく頼む。」

髪の長い青年と、薄紫の髪の青年と少女はどうやら知り合いらしかった。だから3人でソファー席に座っていたのだろう。次に自己紹介を促された少女は、そういった事が苦手なのか俯いて小声で話す。

「あ、えっと、……い、石水、杏です……。この2人と、あ、あの……久しぶりだね、菊哉くん。」

「あ?そうだな、お前もっとシャキシャキ喋れよ。……俺は鮫島菊哉だ。」

彼女はマスクの青年と知り合いだったらしい。マスクの青年……鮫島くんはあまり話したくないのか、名前以外に情報はくれなかった。

「………。」

「……おい、お前だろうがノロマ。」

「……? …僕も、自己紹介するの?」

「当たり前だろうが。」

「…わかった。僕は、霧野真。…鮫島の、先輩…。」

最後まで寝ていた彼は寝ていなくとも鈍いのか、時間をかけて簡潔な自己紹介をした。

先輩、ということだが彼らはなにに所属しているのだろう、高校か大学といった感じだろうか。

「俺は八島美春、ここには…俺の知り合いは居ないけど、よろしくね。」

最後に俺がそう言って笑うと、そのタイミングを見計らってか、バーテンの男がテーブルにグラスを運んできた。

「お通しでございます。お酒を用意する間にどうぞ。」

俺以外の全員の前に、俺と同じメモ入りのグラスを置いた。各々がグラスに視線を注ぐ。

「それでは、ごゆっくり。」

「おい、待て。」

そそくさとカウンターに戻ろうとするバーテンを兎上くんが引き止める。

「僕らは…少なくとも僕とこの二人は未成年だ。酒の用意は必要ない。」

「わ、真面目だねえ。」

「黙っていろ!」

言われてみればそうだった、お酒の用意をする間に、と言われても、まだ未成年で学生の俺にお酒を出されても困る。

「俺も、お酒はまだ飲めないからいいよ。」

「……僕も、あと、鮫島も。」

「あ?」

「……だめ。」

個人的に飲んだことがあるかは別として、ここに居るのは全員未成年らしかった。

しかし、バーテンの男は営業スマイルを崩さずに言う。

「ご安心ください。ここでは何をしようと罪になりませんから。」

そして、バーテンはまたカウンターの向こうへ戻り、グラスを拭き始めた。

……なんとなく、空気が2度くらい下がったように感じた。

「……ふうん、このメモ、ヒントかもねえ。」

一足先にメモを開いたらしい若林くんが発言した。そしてメモを全員に開示する。

 

『当店ではドレスコードが絶対となります。もし違反を見つけた場合、相応の処理をさせていただきます。』

 

パソコンで印刷されたような文字で綴られていた内容はそんなものだった。

ドレスコード。学生の場合は大抵が制服だが……生憎、今は私服を着ているようだ。ほかの全員を見ても、私服を着ている。

「……でも、あのバーテンの人何も言わなくないですか…?」

石水さんが控えめにそう言う。確かに、絶対という割には彼は俺たちの服装を指摘しなかった。

「さあねえ、でも、連れてこられただけの僕らに服装を整えろなんて無茶だってことわかってるだけかも?後で聞いてみようかあ。

君たちのメモは?」

そういえば、俺もメモを開いていない。すっかり忘れていた。慌ててポケットに入れたせいでくしゃくしゃになってしまっている。

「杏のメモは……『当店ではお客様のお好みでご自由にお飲み物を作っていただく、セルフサービスとなっております。店にあるものはどれでも、お客様の好みに合わせてお作り下さい。』ですね…。」

「俺のは『鏡がうつすものは真と対象、すなわち虚像でありながらそれは真としての姿である。』……意味わかんねえ。」

「僕のものは『正しく見極めること、そして歪みをも寵愛せよ。』だな。若林と石水のメモは確かにヒントだろうが…僕と鮫島のものはまだわからないな。」

「君のはあ?」

「……。僕のも、関係ないと思う……。なんか、僕のことについて、書いてた。」

「また訳の分からない……困りましたね。」

「お前はどうだ、一人だけグラスを置かれていなかったが、先に起きて貰っていたのか?」

「ああ、うん…えっと。」

ようやく紙を開いて、そこに並んだ文字を見た瞬間ぞわりと寒気がした。

 

『貴方は殺された。大切な親友を殺された。』

 

殺された、大切な親友を。

貴方は 殺された。

その文章が頭の中を駆け巡って、そして不意に記憶がフラッシュバックする。

梅雨独特の湿った風と恐ろしい鉄の匂いと、大きく振り上げられた鎌と、左腕の痛み、そして、そして。

 

「…ねえ、大丈夫?」

声をかけられてはっとした、呼吸が少し浅い。全員が俺のメモの内容を聞こうとこちらを見ている。まだまとわりつくあの時の記憶と被りかけるのをどうにか追い払って俺は笑ってみせた。

「大丈夫。俺のメモも霧野くんと同じだったよ。関係なさそう。」

関係が本当になかったとしたら、あまりにも悪趣味で残酷だ、とは思った。

床に敷かれたカーペットの赤色すら、視界に入れるのを躊躇ってしまった。

 

 

意外と繊細

その違和感を感じたのは1回目じゃない。

反射的に、とは皮肉なものでそこにある意図だとか、その人が向けていた感情だとか、そういったものは関係ないらしい。小難しく話されてしまったので、正しく理解しているかは若干不安だが、確か実先輩がそんなことを言っていた気がする。

「よう鮫島ぁ!今日は珍しく1時間目から居るじゃーん、いえーい!ww」

そこに悪意なんて微塵もなくて、ただよりフレンドリーにと思っただけだ。

明るく話しかけた方が、ちょっとくらいアクションを起こした方がいいと思っただけ。

 

「ッ、朝っぱらからうるせえよまな板女。」

 

見向きもせず払いのけられると思ったハイタッチに、彼が一瞬こちらを警戒したような。一瞬この手にその視線が釘づけにされていたような。

本当に一瞬だったけど、確信した。というか、前例より隠すのが下手くそだ。

 

鮫島菊哉には、過去習慣的に暴力を振るわれていたことがある。

 

 

「真先輩ってまだハイタッチとか怖いんすか?」

「…?どうして?」

「いやー…。まあ。」

前例というのが、私の所属する隊の隊長である先輩……霧野真だった。

ずっと前に、あれは……確か先生に真先輩と訓練していたのを褒められた時だっただろうか。喜んで私は真先輩にハイタッチしに行ったのだが、彼はそれにほんの僅かな怯えを見せ、なんと私のハイタッチから一歩身を引いた。

ハイタッチに慣れていないのかなとか、この人マジでコミュ障だ…とは思ったがその怯えは危うく見逃すところだった。

後から実先輩に、なんか真先輩にハイタッチ避けられるんすよねー悲しいわーしかもあの人ちょっと怯えてた気がするんすよねーコミュ障キめすぎでしょーなんて話したところ、これからは注意するように、と説明をうけたのだった。

そんなこと軽々しく私に教えて良いのか、という疑問に関しては実先輩に私は信用されているとの返答だった。正直怪しい。

 

鮫島がとった反応は真先輩と違って警戒、怒りだった。…正直殺意を向けられたといっても過言ではなかったとあの時の目つきを思い出せば言えるだろう。

 いったいどういう壮絶な過去をたどってきたのだろう、私の周囲の人は。確か実先輩も弟妹の面倒を見ているという話だ。

軍学校ならそんなものだろうか…正直私には理解も想像もできない。

真先輩は親だった。鮫島も…親?

だとしたら、誰に愛されてきたのだろう。月先輩や和希ちゃんだろうか。

身内には?

 

「鮫島ー!!やっほー!」

「んだよ、うるせえ女だな。」

「なんだよwwwww」

 

低い位置で手を振ってあげるこれも一応愛なんだけれど、

彼に伝わっているだろうか。

 

伝わらないかもな、お馬鹿さん

八島美春という人間

振り上げられた見覚えのある大きな鎌。

白い制服を真っ赤に染めて地面に倒れている旧友。

真っ黒な髪に、真っ黒な制服の、まるで、それは悪魔のような

 

「隊長!?!」

静止の声が遠くに聞こえた気がした。それよりも先に地面を蹴ってしまった俺の判断は誰がどう考えても、もちろん俺が考えても馬鹿な判断だった。

「待てよ、殺すな!!!」

長刀は届かない。唯一届いたのは俺の左手と…

「……はっ、馬鹿じゃん。天才サマよぉ。」

彼の 嘲笑だった。

 

「…悪いね。今、空いてる手はあるかな?」

救護班の女子生徒が数人悲鳴をあげた。他の数人は男女問わず俺の顔を見てざわざわ、ひそひそと会話を始める。

正直イライラしていた。ここは戦場だ、誰がいつどんな怪我をしてこようがおかしいわけがない。何を動揺しているのだ。生ぬるい覚悟でここに居るとでもいうのだろうか。ましてやここは本部なんかではない。戦場に配置された、臨時の拠点だ。

「…ああ、治療が必要なのは俺だけだよ。…こっちは死体だ。途中までは息があったんだけどね。」

にこりと笑って見せたが悲鳴をあげた女子生徒たちはさらに怯えてしまった。

こっちは痛くて泣き叫びたいのを我慢しているというのに、なんという待遇だ。

運んできた彼を地面におろして寝かせてやっている間も、人が雑然と作業しているはずのこの場所にふさわしくないほど、俺の周囲の空間は空いていた。

「さあ、悪いけど最後に大仕事をしてもらおう。俺の利き腕なんだ、よろしくね。」

そう言って治療準備をしている生徒に笑って近寄るとひっ、と悲鳴をあげて一歩下がられてしまった。どうやらやはり、俺では彼のようにいつでも笑ったところで安心させられないようだ。

利き腕…左腕の肉が削げてしまい骨すら見えそうな状態であった俺をようやく治療するために人が近寄ってきてくれた頃には、拠点内の救護班も治療を受けていた表部隊の人間も誰もが俺の名を口にしていた。

 

あの八島美春が あれが あの天才八島美春が大怪我をして帰ってきた。

 

…さすがに、彼らに笑い返す余裕はなかった。

あの鎌、黒い彼が毒薬を塗りこんでいたらしい。意識が飛びそうなのをどうにか捕まえていた。

救護班の人たちの声が遠くに聞こえる。どうやら俺を担当するのは1年生らしい。

何やら先輩の指示を聞いて動揺して怒られている。

…なんでもいいから早くしてほしい。いくら天才だなんて勝手に言われていても、俺は痛覚を持ち合わせた人間なのだ。

 

「……ッ、あ、!?」

ひどい痛みで意識を取り戻した。鎌が腕に入った時よりも圧倒的に鈍い痛み。

見てみれば女の子が刀を俺の左腕に振り下ろしていた。

「ごめ、ごめんなさ、わた、私…ッで、でも、毒が、もう、腕…ッ先輩が、」

泣きながら震えながら、彼女は刀を俺の腕にこすりつける。俺の血が彼女に降りかかる。男子生徒や女子生徒が俺の体をあちこち押さえつけて暴れださないようにしていた。

「ごめんなさ、ごめんなさいッ、私、私悪くないんだから…ッ恨まないで!!」

武器を使い慣れてないことがよくわかる、この女馬鹿なんじゃないか。刀はのこぎりとは違う、いったい何を学校で学んでいるんだ。

痛い、痛い痛い、痛い

「…ッ、ぁ、…だ、いじょうぶ…ね、?」

そう彼女に笑いかけた瞬間に俺の体を押さえつけていた手がいくつも離れた。

いい加減にしてほしい。いくら俺でも抑制がなければ痛みに耐えきれず暴れてしまうかもしれないじゃないか。

必死に悲鳴をあげないように耐える俺の耳に届いた彼女の言葉に至っては

「ひ、……きもちわるい…ッ!」

…まるで、化け物扱いを受けている気分だった。

人の腕が切り落とされようとしているというのに、この拠点は異様に静かだった。

 

ああ、痛い、 痛い痛い痛い。骨に、神経に、筋肉に、刃が。

どれだけめちゃくちゃにすれば気が済む、いつになれば切り落とせるんだ、

痛い痛い痛いいい痛い 痛い 血が 死んでしまう このままでは

 

いけない 彼女を怖がらせては。

 

 

 

目が覚めた時には清潔なベッドから白い天井を見上げていた。傍らの赤い輸血パックが妙に目立っていた。

見舞いの人間はいない。

「………はっ」

思わず笑いが漏れた。

こうなっては仕方ない。意外と簡単に諦めはつくものだ。当たり前だ。

 

…俺は、あの子と違って生きている。

 

女の子はいいぞ

真「悠」

実「オチにされるのに飽きられてきたからって出オチにもってきやがったか」

夢兎「頼むから女子でお願い 1回くらいまともに選ぼ?」

真「…?」

風兎「本気でわからなさそうな顔やめて」

小太郎「おとなしい子の方が好みそうだけどお 恋人は悠くんでしょお?年上タイプが好きなのかなあ」

美春「烈とかは?ちょっときつい?」

菊哉「女になったら好みくらい変わるだろ 御法とか言うやつどうなんだよ大人しそうだし胸でかいし」

夢兎「ちょっと御法ちゃんのことやらしい目で見るのやめてくれる!?!?」

美春「夢兎も好きでしょ巨乳」

夢兎「好きだけど!!そうじゃないいや何言わせんの!!!」

由紀「で?結局貴様は誰を選ぶんだ」

真「ええ………ううん………東雲さん、かな」

実「あっえっまじで!? 織部先輩だと思ってたわ」

真「織部先輩…も…お姉ちゃんみたいですき」

菊哉「恋愛対象外ってことか?」

真「…?そんなこと言ってない…」

菊哉「は?💢」

小太郎「はいはい怒らないでねえ 狙ってるんじゃないんだからあ」

菊哉「うるせえオカマ💢💢」

小太郎「なーーんだ死にたかったなら早く言ってくれればよかったのにい」

実「あーーー小太郎は??好みの!」

小太郎「ええ? うーんそうだねえ 伊波ちゃんとか好みだけどお 薫子ちゃんも悪くないねえ」

由紀「貴様女性に少しでも興味があったのか…」

小太郎「まあねえ ちょっと遺憾だけど見逃してあげるぅ」

風兎「伊波選ぶとか趣味悪いよきみ……()顔は可愛いけどさ」

美春「じゃあ君は?」

風兎「えっ…ううん、要か御法さんかなあ…」

夢兎「あっ俺も御法ちゃん!!かわいい!!」

実「兄弟ってそういうとこも似るのな」

風兎「ええ 違うと思うけど」

夢兎「御法ちゃんに甘やかされたい はい!君は?」

由紀「貴様気持ち悪いぞ…………僕は唯亜だ。」

小太郎「坊ちゃんはやっぱりお嬢様選ぶんだねえ」

由紀「そういう理由ではない💢」

実「唯亜さん美人だからわかるけどなw まあ俺は茉秋さんかまほちゃんかなー 女の子っぽいし」

美春「俺克牙ちゃんか千春ちゃんかな 甘やかしたいね」

風兎「そうなの!?君の好みわかんない…」

夢兎「あれ、結局君愛弓ちゃん?なの?」

菊哉「は?ちが」

実「うんうん最愛の彼女だからな 織部先輩だってよ」

菊哉「💢💢」

遺書

彼女はいつも輝いている。

キラキラと笑い、花のように頬を染め、バイオリンの音色のような声で私の名を呼ぶ。

マイプリンセスと呼ぶのは軽率だろうか、しかし私のものかは別としても、彼女が姫であることには変わりない。

私は彼女に恋をしている。

 

 

学園の王子の名を欲しいがままにする、マイペースが過ぎる彼――正確にいえば彼とも彼女とも形容できないが――の周囲にはよく女性が集まっている。男性が集まらない訳では無いが、女性の方が付きまとっている時間は長いだろう。

王子は女性が好きであった。

皆に手を差し伸べ、皆を平等に侍らせ、その姿はまるで一夫多妻の王族のようだ。マントのように羽織ったローブがまた助長させる。

 にこにこと笑う彼はそれを鼻にもかけず、程よく抜けているその性格で男女双方から人気を集めていた。

一方で、王子とは違う様子だがクラスの皆から好かれる少女が居た。

平凡な女の子、と少女漫画の冒頭で説明が付きそうな素朴な可愛らしさを持ち、明るい笑顔で友人としての人気を有する少女だった。

ほかの女の子と同じように甘いものを好み、ほかの女の子と同じように可愛いものに憧れていた。

そんな彼女の圧倒的な周囲との違いは、王子にいたく気に入られている事だった。

きっかけなどない。ただ初めてあったその時から、当然であるかのように気に入られたのだ。

シンデレラのように舞踏会に行ったわけでも、白雪姫のように硝子の棺で眠っていたわけでもなかったが、少女は王子にとってのお姫様だったのだ。

「やあ、マイプリンセス」

そう王子が微笑みかけるのは決まって姫がひとりでいる時だった。

所有格をつけてまで呼びかけるのが少女に対してだけだと少女は知っているのだろうか。

王子がそれを故意的にやっているのかも、神のみぞ知ると言ったところなのだろう。

2人の間に確かな好意があるのにも関わらず、彼らの距離はいつまでも一定に保たれていた。

 

 

臆病な私を許しておくれ、リーリエ。

そして君を言い訳に使ってしまうこと、情けないことだとわかっているつもりだよ。 

仕方ないとは言わないさ、私も。

今の私を嘆くことなどしないさ。不満に思うこともない。

あの時以降も私はたくさんの幸せを享受している。私はこの世界を愛している。

それでも、君を愛することは。

君に、愛されることは。

 

……わかるかい?リーリエ。

私は君の彼氏になることも、彼女になることも、配偶者になることもできないのだよ。

ましてや、君の王子になんて、私にはなれない。

私の愛は、そこに責任を感じるほど、深く大きいものになってしまっている。

だからね、もっと時間が欲しいのさ。

私が、君を不幸にするその覚悟ができるまで。

私が、冠を捨てて闇に消える覚悟ができるまで。

 

 

それから、私を見損なっておくれ、リーリエ。

 

真の愛のその熱量

 

その朝は普段よりも1段と冷え込んでいた、様に思う。懸命に看病していたつもりが、僕の手は確実に彼の命を蝕んでしまっていっていた。

もう、僕の手ではどうしようもない、彼の命の火はもう吹けば消えてしまいそうだった。

その時に、彼が遠くの友人と話せるのだと言っていた、電話という道具を思い出せたのは奇跡に近い。

僕の両手はすぐに、受話器と電話帳に伸ばされていた。

 

***

 

彼らの存在に気付いたのは部屋に彼らが入ってきてからだった。悲しみのあまり、足音に耳を澄ますことも忘れていたらしい。

ようやく来てくれた人間の姿に安堵した僕は、彼らに感謝の意を伝えようとしたのだけれど、ぐるぐると胸中で渦巻く冷たい感情が、うまく抑えられなかった。

「…どうして、もっとはやく来てくれなかったの」

本当は、あんなこと言うべきではなかった。……いや、言いたくなどなかった。

僕は悠みたいに、優しく居たかったのにね。

「君たちが、もっと早く来てくれれば、悠は助かったかもしれないのに。」

零れていた涙は凍ってしまっているのじゃないかと錯覚するほど、冷たく頬を濡らしていた。

僕が言葉で暴力を振るった2人は、困ったような顔をして、悠と僕を見つめていた。

 

異変が起きたのはそのすぐあとだった。

水銀のような化け物…結局は、僕の兄弟だったわけだけど、奴らが悠と大切にしてきたこの家を覆い尽くしてしまった。

挙句の果てには、変身術なんかも駆使して、助けに来てくれた2人を傷つけてしまった。

形容しがたい感情が僕の中に湧き上がるようだった、…でも、その形容の仕方を教えてくれる悠はもう居ない。

勝手に呼びつけたのは僕だったけれど、2人には傷ついてほしくないと感じた僕は、どうにか2人に帰ってもらおうとした。

…それに、我が儘を言うようだったが、悠のそばで、悠とふたりきりで居たかったのだ。彼を殺した僕にそんな資格はないのかもしれないけれど、きっと優しい彼なら、こんな僕でもそばで最期を迎えることを許してくれるだろうと考えていた。

悠の居ない、寒い世界で生きていくことなど、頭にはまるでなかった。

 

しかし、2人を帰すのには障害が多すぎた。今から思えば、2人にあれほど無茶をさせず、僕だけで帰路を探しに行くべきだったかもしれない。…それを申し出たところで、優しいあの2人が了承したかは危うかったかな。

実に色んなことがあったと思う。

悠を一緒に連れていってくれようとした。

僕がどうしても寒くて近寄れない所を、我慢して代わりに調べてくれた。

化け物の弱点を見つけて、退治してくれた。

暖かいカイロというものや、マフラーを貸してくれた。

僕が難しくて読めなかった本を読み聞かせてくれた。

僕にたくさん優しくしてくれた。

…どれも、とても嬉しかった。不謹慎かもしれないけど、少しだけ悠の居ない寂しさを紛れさせてもらっていたように思える。

1度だけ、僕に触れようと迫ってきたことがあったけれど、あれには少し驚いたかな。

僕がこんな体でなければ、一緒に遊べたかもしれない。

今からごめんねと言っても遅いんだろうな。

2人が僕を無視して地下に行ってしまったのも、僕の……いいや、あのバケモノの親玉を倒せば、僕の心が晴れることを予知していたのかもしれない。

本当に、優しくて、勇敢な人達だった。

最期に、そんな人達に巡り会えたのは幸せなことだったんだろう。

 

ああ、瞼が重い。

 

一緒に埋葬しようねなんて、約束してくれたのにごめんなさい。

どうか、暖かいところに悠のお墓を作ってください。

僕は、僕の望むように、眠らせてもらうね。

「…ゆう、」

ベッドに寄りかかって、愛しい君の名前を呼ぶ。

伝えたいことはたくさんあったのに、僕はまだ、それを紡ぐだけの言葉を知らないんだ。

だからひとつだけ。

「……ありがとう。」

悠だけにじゃない。美しい白銀に、優しい太陽に。

 

名前も知らない、たった2人の救世主に。

恋の罠

好きな色はなあに?

緑だよ、お母さん。

あら、そうなの!お母さんもねえ、緑色大好きよ美春、おそろいね。

うん、嬉しいね、お母さん。

 

小学校の頃、そう言った会話をしたら、同級生の女の子に本当にみどり色が好きなの?嘘っぽいわ、と言われたことがあった。

彼女がどういうつもりでそれを言ったのかは知らないが、俺は普通に緑色は好きだった。

新緑の色、生命の色。一息つく緑茶の色。美しいオーロラの色。

まあ確かに、特別好きなんてものじゃなかったかな。

当時からそう言った性質で、ある程度の好みはあれど、突き抜けた好きも嫌いも持たない人間だった。

 

「隊長ー!」

ふと顔をあげると、遠くで美しい緑色が、日光を受けて柔らかく輝きながら細められていた。

白いシャツに身を包んで、暖かい色の茶髪を揺らし、男性らしい手を俺に向かって振っている、その人の瞳。

割とお気に入りのこの文庫本の、丁寧にデザイナーに選び抜かれた緑色なんかよりよほど綺麗だった。宝石に例えるのもいやらしいのではないかと疑うくらい、彼の瞳はまぶしい。

近くまで芝生を踏みしめて歩いてくる大きな足も、木漏れ日で点々と輝く健康的な肌も、

一つ一つ、毎秒俺を恋に落とす。

こんなに夢中になって、俺は俺を許せるだろうか。君は、気づかないでいてくれるだろうか。

だけど、気付いて欲しくないわけじゃないんだ。月夜よし、夜よしと人に告げやらばってね。

ああ、また頭がいっぱいになってしまう。

 

さらさらと風が吹いた。

 

君の少し長い髪から君の香りが秋の終わりと共にやってくる。

「冷え込んできたな。」

そうへらりと笑った君の表情にまた、恋に落とされた。